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法政大学/学生運動/斎藤いくま公式ブログ
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●五人の活動家は法廷闘争で勝利したが、法大当局との闘いは終わっていない
高裁は抗議行動に対する地裁無罪判決を維持したが、大学による処分は依然として有効だ

 ウィリアム・アンドリューズ
 
 一見すると日本の静かなキャンパスは、最近、警察が中国との貿易交渉に抗議する学生と暴力的に衝突した台湾の大学とはほとんど共通するものがないように見える。しかし、顕著な例外は東京の法政大学であろう。法大は、数年間にわたって諸学生団体と学校当局、警察が激しく衝突する場となっている。
 2006年に紛争が始まって以来、125人が逮捕され、33人が建造物侵入、集会に関する条例違反、あるいは公務執行妨害などで起訴されている。8人の法大生が抗議行動に参加したとして無期停学となり、3人が退学させられた。起訴された学生のほとんどが有罪判決を受けたが、今年の2月には、長期にわたる闘争の歴史のなかで主要な位置を占める裁判のひとつでこの5人は無罪とされた。
 法大生の新井拓、増井真琴、恩田亮、内海佑一、元東北大学生の織田陽介は、2009年に最高刑が懲役3年で、組織犯罪にしばしば適用された戦前来の法律である暴力行為等処罰に関する法律で起訴された。最初の裁判は2012年5月の無罪判決で終わったが、今年の2月には最高裁【訳注 正確には高裁】は地裁の無罪判決を支持し、検察側の上告を棄却した。【訳注 正確には検察側は上告を断念した】
 5人の被告は全学連(全日本学生自治会総連合)と非公認の学生団体である文化連盟に所属している。とはいえ彼らの経歴や政治的活動はさまざまである。また5人のうち唯一法大生ではない織田は、元全学連の委員長であった。
 恩田は大学に入学した後に、法政大の学生運動に参加したいと思うようになった。彼は「私はビラを渡され、集会に参加した。それから学生運動に本格的に関与し、結局活動家になった」と語っている。
 内海と織田は2006年3月14日の警察との最初の大きな激突で逮捕された29人の中にいた。この日、学生たちによって「憲法改悪阻止」「小泉政権打倒」などの政治的スローガンが書かれた立看板の撤去に反対する法政大やその他の大学の学生たちの抗議行動を弾圧するために200人の警察官が導入された。
 内海は、「立看板撤去の直接的理由は美観を害するというものであった。しかし後に、大学側が事前に警察と打ち合わせを行っていたことが明らかになった」と語っている。
 3月におきたことは、学生活動家を怒らせ、その後数年にわたって大学当局に対するさらなる抗議行動を巻き起こすことになった。そしてそれは再び2009年の最初の数ヶ月に頂点に達した。
 4月と5月のいくつかの紛争で抗議行動を行った何人かが一連の容疑で逮捕された。最近高裁で無罪が確定した5人は、この年の2月に大学の掲示した看板を破壊した件に関与したとして暴力行為等処罰に関する法律違反で起訴された。法大当局は当時21歳だった増井を、大学職員を脅迫したと非難し、授業料を支払わなかったことを理由としてキャンパスに入ることを禁止することを告知した看板を3ヶ所に掲示した。法大当局はこの看板の被害額は12万円にのぼると主張した。
 大学側は抗議行動を行った者たちを、キャンパスの秩序を混乱させ、「暴動」を煽り、「扇動的」「中傷的」発言をキャンパスやインターネットで行ったとして非難した。この年の春の学生たちの警察、守衛との激しい衝突については、ジャパンタイムズのこのコミュニティー欄の以下の記事がカバーしている。(http://www.japantimes.co.jp/community/2009/06/09/issues/rumpus-on-campus/#.U2G9a5CKDct)
 
 5人は8ヶ月間拘留されたが、その間自白を引き出そうと警察が試みたのに対し、彼らは完黙を続けた。
 増井は「あれはまるで修行のようだった」「逮捕されるのは大変なことだが、同時にこういう経験を通じて人は強くなれるものです」と回想している。彼らは40年間近く投獄されているが断固として警察官と話すことを拒否した左翼の活動家である星野文昭を模範にしているのだ。
 若い活動家たちは、最近の東京都知事選挙の候補となった鈴木達夫弁護士に率いられて長期にわたり、お金のかかる法廷闘争を行った。彼らは数々の左翼勢力や無党派団体に支援された。
暴力行為等処罰に関する法律は戦前には治安法として弾圧のために使われたが、1945年以降は、組織犯罪や学生運動に対して適用され、現在は一般的な事件にも積極的に適用されていると、早稲田大学の刑法学者である高橋則夫教授は述べている。「看板の破壊は財産の毀損であるが、その行為が集団的に行われれば、判決は重くなる」と彼は述べている。
 しかし高橋教授は同じような罰則は刑法の器物損壊罪でも適用されるが、暴力や脅迫行為が行われた際の処罰を重くするために、それに代わって暴力行為等処罰に関する法律が適用されると述べている。
 「法大5人組」は、証拠の核心をなす監視カメラの映像と証人の証言が決定的なものでないと裁判所が判断したため、無罪を確定された。結論はあいまいなものであり、結局彼らの無実を全面的に認めるものではなかった。検察側は5人は集団として計画を練り、被害を与える行為を実行したと主張したが、これが学生たちに有利な判決をもたらす原因となった。
 「この事件では、5人すべてが現場にいることが必要であったが、それが実証されなかったので彼らは無罪となったようです」と高橋教授は述べている。
 抗議行動の現場からはなれて、法大5人組のうちの4人に私が会った時には、これらの活動家たちは親しみやすい人々であったが、彼らが自分たちの闘いについて語りだすと容赦がなかった。彼らは法政大当局の行動を「抑圧的」であると直ちに決め付けるが、このような歯に衣を着せない見方が、おそらく彼らの話がめったに主要なマスメディアで報道されない原因かも知れない。
 「私の見解では、国家を批判し、国家と闘う私たちのような者についてはほとんど報道されないのです」と内海は語った。 
 NHKが最初の無罪判決について報道したが、その時にはNHKはこの5人自身に聞きにいくのではなく、この事件の重要性についてある専門家にインタビューをしにいっている。「彼らはわれわれにインタビューしに来ない!」と増井は不満を述べた。
 1968年には日本の大学の80%が大学ストと大学紛争で麻痺させられた。法政大学は特に学生運動の拠点として知られるようになった。その後の日本の学生運動の衰退の理由は様々あるが、法政5人組は、現在の新自由主義が学生運動にのど輪をかけたと信じている。
 法政大の学生組織は長年にわたって着々と衰退させられてきた。2002年までに学生自治会は存在しなくなり、文化連盟(学生の文化クラブ団体)も2007年に解散された。現在復活した文化連盟は非公式で非公認の再建団体である。
 学生活動家たちは彼らの活動を新自由主義や、強められている外注化や高い授業料、学生団体への諸制限などの全国的な大学制度の変化との闘いの一環であると考えている。法政大の闘いはこれらの変化に対する広範な闘いの中で象徴的な闘いとなっており、全国の学生活動家を奮い立たせている。
 株式市場に金を投資している他の多くの大学と同様に、法政大も、リーマン・ショックの後遺症によって重大な損失をこうむっている。学生活動家たちは教育を資本主義的事業のように扱っているとして大学当局を弾劾している。ジャパンタイムズは法政大学に対して、この記事に掲載された大学当局への非難に関するコメントを寄せるように要請したが、大学側はコメントを拒否した。
 5人のうち3人の法政大生は、公式には「暴力的ふるまい」や「大学の業務に対する妨害」や「授業の妨害」などを理由として退学させられた。増井は授業料を払わなかったとして学籍を抹消された。
 恩田は「処分はわれわれが逮捕されたから行われたのではない」「真の理由はわれわれの学生運動だ」と語っている。
 5人は今でも政治活動を行っている。だが、内海と織田は職業的な活動家と言えるが、新井と恩田、増井は現在定職についている。たとえば増井は介護労働者であり、労働組合員である。
 織田は反原発運動をNAZEN(すべての原発今すぐなくそう全国会議)として行っている。、内海は断固たる左翼活動家であり、われわれのインタビューの際に、彼のカバンからデモを呼びかける様々なビラを取り出していた。
 内海は、自分は何の後悔もしていないと語っていた。彼はこの裁判以前から自分の人生を学生運動にささげていたと語っており、現在もただひたすらこの道を進んでいる。
 非常に個性的な人物で、いつも粋なスーツやシャツを着ている恩田は「すばらしい!」と内海との会話に割って入った。彼は現在は「労働者」だと言っている。だが、労働者だということは彼のトレードマークである衣装ダンスをあきらめなければならないということを意味しない。
 「まあ、自分は今はホワイトカラーですよ。それでも自分は内海のようなれたらなと思いますよ」と彼は軽妙に語った。
 彼らが逮捕歴を持ち、大学を追放されたことは、公務員として働くことも大企業で働くこともできないことを意味する。
 「大企業は身元を調査するんですよ」と恩田は言っている。
 5人は無罪判決を受けたかもしれないが、彼らの闘いは終わってはいない。現在彼らは大学側に対し彼らに謝罪し、判決が彼らの行動の正当性を示していることを認め、彼らへの処分や他の法政大生への処分を撤回することを要求している。
 金曜日【4月25日】には、彼らのこのような要求を支持して60人ほどの集会が法大市谷キャンパスで行われた。多数の警察官もやってきていた。
 「あいつらはわれわれを弾圧しようとしているのですよ。弾圧体勢を整えて機会を狙っているんです」と内海は言う。
 ジャパンタイムズはこのデモンストレーションが行われている間に法政大の一般学生から話を聞いた。
 「彼らが自分の意見を言えるのはとてもすばらしいことだ。だけど騒がしすぎるな。キャンパスのすぐ近くに病院があります。こんなにうるさくする必要があるのかな」と一年生のトモヒコは語った。
 学生たちは文化連盟の存在に注目しているようであり、そのなかには法政大学の学生運動の歴史についての知識も豊富な学生もいた。
 「私自身は参加したいとは思いませんが、これが法政大学の伝統みたいなものなんです。流血騒ぎに至らない限り、学生はこのように自由に発言できなければならないのです」と4年生のミサキは語った。
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